霧に煙るロンドン。かの地で、新たなる女吸血鬼が誕生した。名前はソーニャ・ブルー。Tシャツにジーンズ、皮ジャンというラフな出で立ち、そして瞳を隠すミラーグラス。その彼女を世に潜む<偽装者>たちは恐れていた。なぜなら、彼女は同族を狩るハンターだからだ。生み親モーガン卿への復讐を胸に誓い、ソーニャは<真世界>を闊歩する。
俗に言う吸血鬼物ですが、主人公ソーニャの風変わりな点は、まだ人間だったときの人格が残っているところです。人間だったとき、ソーニャは富豪の娘デニーズ・ソーンでした。吸血鬼モーガンにレイプされたとき、ソーニャ・ブルーという別人格が生まれました。そして、吸血鬼本来の人格として<彼女>がいます。これら三つの人格がソーニャの心の中でせめぎあっているのです。
舞台はロンドンからヨーロッパ各地、日本、香港、最後にアメリカへ。<ソーニャ・ブルー>シリーズは以降アメリカが主要舞台となりますが、物語の性格上、描かれるのはスラム街など社会の暗部が多いです。ちなみに、日本の描写はわずか5ページですが、作者ナンシー・A・コリンズが日本へ観光にきた印象をそのまま書いたんじゃなかろうかという文章がおもしろいです。
これからお読みになろうという方は、少し覚悟しといた方がいいかも知れません。本作品中には、過激で変質的な性描写や残虐なシーンがてんこ盛りだからです。まさにバイオレンス! 主人公ソーニャの強さと心の葛藤がそれらをうまく中和してくれますが、結構きてる作品です。
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