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ロバート・A・ハインライン
Robert Anson Heinlein
(1907〜1988)
ミズーリ州の生まれ。1925年に海軍兵学校に入学し、その後仕官となるも病気のために退役。UCLAの大学院で高度なエンジニアリングや数学を学んだものの再び病気で退学。度重なる病気が彼の転機となりました。
 1939年4月、彼はたった4日間で書き上げた処女作『生命線』をアスタウンディング誌の編集長ジョン・W・キャンベル・ジュニアに送りデビューを飾りました。実のところ、彼は借金を背負い、金を得るためにSFを書き始めたのでした。

 ハインラインは、アシモフ、クラークらと並び、SF御三家と言われるほどの名声を誇りました。彼の哲学はタカ派的な面が色濃く、作品にも顕著に表れています。それは、戦うことで自由を勝ち取ったアメリカ人の気質そのものではないでしょうか。
人形つかい夏への扉
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人形つかい
The Puppet Masters
(1951)
福島 正実訳/ハヤカワ文庫SF (1976)/ISBN 4-15-010217-1
story アイオワ州デモインズに墜落したUFO。付近の住民たちはいたずら者の仕業だと言うが、明らかに何かを隠している。大金をかけてすりかえられたニセ物のUFO、平静な地元マスメディア、猫背の住民たち。秘密捜査官のサムは仲間とともに真相を暴くために現地へ潜入するが・・。

review 題名から容易に推測できると思いますが、異星から侵略を受けた人間たちが体を乗っ取られる話です。軍隊式の主人公たち、男性主観的な男女間の描かれ方、アメリカ中心の世界観等々、偏った視点が気にかかるものの、スリリングな展開、さりげない未来描写、敵となる異星生物の描写などに見るべきものがあります。さすがにヒューマンドラマは安っぽい部分がありますけれど。(だって、まさかあの人が彼のあれじゃないよねベタだし、と思ってたらそうでした。もうひとひねり欲しかった)
 読んでいて思ったのは、意外に『夏への扉』と共通点があること。猫とのじゃれ合いの場面とか、ラストの述懐あたりでは特に。もちろんタイプ的には異なる作品ですが、スタイルは似ています。
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夏への扉
The Door Into Summer
(1957)
福島 正実訳/ハヤカワ文庫SF (1979)/ISBN 4-15-010345-3
story ダニイは親友のマイルズと共に会社を興し、自らの発明品である<文化女中器>をヒットさせた。ところが、ベル・ダーキンが彼らの仲間に加わったことで何もかも変わってしまった。ダニイは親友と彼女に裏切られたあげく、彼の発明品である<女中文化器>を会社ごと乗っ取られてしまったのだ。
 打ちのめされた彼の目に映ったのは、冷凍睡眠保険をうたったミュチュアル生命のネオン広告だった。彼は三十年間眠り続けることを心に決めると、即座にミュチュアル生命へと向かったが・・。

review ハインラインが本作品を書いたのは1957年。物語のベースとなる1970年は、当時のハイラインにとって近未来のことでした。主人公ダニイは冷凍睡眠で30年後の2000年に目覚めるのですが、今や1970年も2000年もどちらも過去のことになってしまいました!
 本作品におけるS(サイエンス)の側面はもはや賞味期限を過ぎたといわざるをえないでしょうが、F(フィクション)の面白さは並みいるSF小説の中でも随一でしょう。出だしの“かくいうぼくも夏への扉を探していた”という一文は胸にじーんとくるし、ラストの余韻は何とも心地よく素晴らしいです。紛れもない傑作でしょう。また、福島正実氏の訳者あとがきも名文だと思います。
 SFを読んだことのない人や読まず嫌いな人にSFを勧める機会があると、僕は必ずこの本を勧めることにしています。