あなたが好きです


いったい何が起こっているのか。
セナは自分の目を疑った。
「ここは・・・?」
見知らぬ白い天井、白いベッド、時々臭ってくる薬の香り。
そう、ここは保健室。
それは理解できた…理解できたが、この光景だけは理解できない。
「・…ヒル魔さん…。」
自分が寝ていたベッドの横の椅子に体を預け眠っている先輩。
自分の思い人。

蛭魔 妖一

何故、どうして彼がここにいるのか、混乱する頭をセナは必死で整理する。
「え〜っと…今日の放課後に練習をしてて、それから自分は走る練習をしてて…走っている途中に梯子が落ちてて…。」


あぁ…扱けたんだ…。


ほんとに情けないと、セナはため息をつく。
「ただこけるのならまだましも、気絶して保健室だなんて…。」


「…ん…。」


聞こえてきた声に、どきっとしてヒル魔に視線を向ける。
身じろぎはしたものの、その目は閉じられたままだった。
ふと、時計を見ると下校時間はとっくに過ぎていて、保健室の先生も先に帰ってしまったようだった。
「ずっと、いてくれてたのかな…?」
呟きながら、ヒル魔の顔を覗き込む。
いつもの表情とは、まったく違う幼い寝顔。
少しきつい、綺麗な瞳、それが閉じられるだけでこんなにも印象が違うのかと、何かを発見したみたいで、セナは少しの嬉しさに包まれた。
いつからだろう、こんなにも彼のことを観察するようになったのは。
最初の印象はただただ怖い先輩というだけだったのに、だんだんとその気持ちは変わっていった。
厳しい、怖いという外側の印象に包まれた、やさしさ、思いやりを秘めた内面が…
「あると思う…たぶん…。」
言い切れないのが、少し寂しいセナだった。
思えばそれから時間はかからなかったのかもしれない。
こんな言葉も、気持ちも、人に聞くか本で読むということでしか知らないことだったけど。
でもこれは、きっとこれは、



「恋なんだろうな〜…。」



気付けばあなたを目で追っていて、そばにいたくて追いかけていて、あなたの近くにいるときの鼓動など、きっと人には聞かされない。
早すぎるから、病院へといわれるかもしれない…。
「ねぇ、ヒル魔さん。気付いていますか?」
ベッドからそっと体を起こし、ヒル魔に一層顔を近づける。

物凄い速さで鼓動が音を立てる。

このままじゃ、心臓が止まるかも…ふとそんな考えが頭をよぎる。

「でも、いいや…。」

あなたのせいで、この心臓が止まるのなら、満足だ。



「ヒル魔さん。あなたが、好きです。」



無意識に、呟いて…ヒル魔の唇に、自分の唇をそっと重ねていた。
「って!?うわぁ〜〜!!!何してるんだ、僕は!?」

「ホントにな、この糞チビ。」

慌てて唇を離し、恥ずかしさのあまり布団にもぐりこもうとしていたセナの耳に飛び込んできた、聞きなれた声。
恐る恐る視線を、声のほうへ向ける。
そこにはさっきまで閉じられていた瞳を開き、ほんの少し顔を赤くしたヒル魔がいた。

「い…いつから起きていたんですか…?」
「てめぇが、起きて愚だ愚だ言ってたときから起きてたんだよ!!」

この糞チビ!付け足しながら、固まっているセナの頭を小突き椅子から立ち上がる。
そのままベッドの周りを囲んでいるカーテンをめくり、そこから出て行ってしまった。
…終わった…、セナはそんな言葉がこだまする頭を振り、ようやく固まっていた体を動かす。
「あはは…でも、聞かれてたなんて…。」
セナの口から言葉と一緒にため息が漏れた。
ベッドから床に足を下ろしながら、きっとヒル魔さんは軽蔑の目で僕を見るんだろうな…などと考える。
「まぁ、当然だよね…」
初めからわかっていたんだ。
この恋は、絶対に叶わないものだって…。

本日何度目かわからないため息を漏らしながら、カーテンを丁寧に開ける。
しかし、そのため息も視線の先に飛び込んできた人影に、思わず途中で止めてしまう。
とっくに、出て行ってしまったと思っていたのに
軽蔑の目を向けられると思っていたのに
もぅ、振り向いてもくれないと思っていたのに

「ヒル魔…さん。」

あなたは僕を振り向いて
普通の、いつもの目を向けて
この場所で待ってくれていた

「おせーんだよ!さっさと行くぞ!!」

「はい!!」





ヒル魔さん
あなたが、大好きです



























セナヒル好きの方…ごめんなさい!
丁寧に頭をさげさしていただきます!!
初めて書いたアイシールド小説がこれか…って自分で打ちながら泣けてきました。
う〜ん・・物凄い中途半端できりが悪くて、作者本人満足してないので、続編書こうかな…などと考えておる馬鹿がいます。
自己満足のために。(笑)
まぁ、一応ひと段落ということで、アップしました。
ここまで読んでくれた方、ホントにありがとうございました!!
そして、ごめんなさい…。